夜間水詠

ひとつの言葉をテーマにした短歌と少々の随筆があります。良かったら覗いてみてください。

「夜」

こっそりと夜へ旅するかっちゃり、と鍵のテープカット音背に

おそらくは終電の音遠巻きに聞こえる振動は夜の鼓動

自販機の灯りをつなぎ真上から覗けばハエの形なのかも

冬の夜 固まっているような空 解してあげよう垂らす鼻息

電灯にもたれかかればスポットを当てられる私なに役だろう

 

私は夜がとても好きです。昼とは違う静けさと冷たさがすごく体にいい気がするからです。

夜になると、私はたまに外へと出かけます。特に車通りの少なくなる23時頃。目的地は大体近くの自動販売機。その間約10分間。ざりざりとアスファルトを鳴らし、昼より多少、冷たくなった空気を吸い込んで空を見上げると、星が綺麗なのです。私の住んでいるところは地球にある灯りがとても少ないので、綺麗です。星座や何等星か知らなくても、星は綺麗です。やはり、星を最高の姿で魅せれる夜は唯一です。

 

夜は時間がゆっくりになる感覚に包まれます。何も期限が無いからでしょうか。たゆたっているような、でもふわふわとはしていない、そんな感覚が大好きです。

時折、夜は不安になるという人を聞くことがありますが、それは少々、夜を怖がりすぎだと思うのです。夜は、冷たく、暗く、静かで、見えない。でも確かに夜は寄り添ってくれます。窓を開けて覗いてみてください。夜は怖がらせようとしているわけではありません。夜は、寄り添ってくれているだけなのです。

 

不安があるなら、夜に聞いてもらえばいいでしょう。夜は何も言いませんが、否定はしません。最高の相談役だと思いますよ。

 

今日のお話は、ここまで。また、次の夜で会いましょう。

 

またね。